平松 香歩里さん
津市安濃町
淡い橙赤色のイチゴ「かおり野」を手に笑顔を見せるのは、イチゴ農家として新規就農した平松香歩里さん。経歴はとてもユニークで、都会の美容師から一転、イチゴ農家に転身されました。就農のきっかけなど、詳しいお話を伺いました。
農大祭でかわいくラッピングして販売
もともと農業とは無縁の家庭で育ち、美容に興味があったので名古屋で美容師やネイリストとして働いていました。結婚を機に夫の実家で農業を手伝うようになり、野菜を育てる楽しさを感じるようになりました。メンタルや体力の面でもハードだった美容師と比べて、農家は自分でスケジュール管理できるので心に余裕を持ち、子どもとの時間も大切にできると感じたのも就農の後押しになりました。 農業を仕事として考えたときに、将来性はどうなのかなど様々な不安はありましたが、就農フェアに参加し、不安を解消できる情報をもらえたことで一歩踏み出すことができました。
就農後の栽培品目は収益なども考えてイチゴと決めました。栽培方法や経営ノウハウなど何も知らなかったので、一通りの知識を得ようと三重県農業大学校に2016年に入学しました。1年間で栽培から販売までを勉強するのですが、就農する前に失敗できる場でもあり、その失敗が今の糧になっています。また農大に通っていたおかげでJAや普及センター、芸濃いちご部会の方との関係がスムーズにできました。
農大生の時に2ヶ月間「芸濃いちご部会」の部会員さんのお宅で農家実習をしました。部会の会議にも参加させていただき、女性が元気で私も入りたいと思い、入会しました。正月には自己最高の230パックを出荷したのですが、パック詰めにまだ慣れておらずJAの集荷時間に間に合うかどうかの瀬戸際で、ベテランのイチゴ農家さんが急遽助けに来てくれました。「部会始まって以来よ!(笑)」と言われながらも、選別のコツを教えてもらったりと、とても優しくしていただいています。
美容師をしていたときのお客様がわざわざハウスを覗きに来てくれて、私が目標だったイチゴ農家になれたことに涙を流し自分のことのように喜んでくれました。お世話になった人たちに私のイチゴを食べてもらえるのはとっても幸せです。
自分のイチゴがいつか、大切な人への特別なギフトになればと思っています。そのはしりとして農大祭で出展したときにラッピングにもオリジナリティを出して販売しました。ひとつはイチゴをお菓子用のギフトボックスに詰めて「Fragaria farm いちご農園」のオリジナルロゴシールを貼り販売しました。もうひとつは食べ歩き用に、木のスプーンに乗せたイチゴの粒に生チョコレートをかけてキラキラのカラーシュガーをトッピングし可愛くラッピングしました。小さな子どもや若い方にも好評だったので、今後も私らしい商品づくりでたくさんの人に『かおり野』の魅力を知ってもらいたいです。
私は農業で働く女性のイメージを変えたいと思っています。地味でいつも土で汚れていて大変そうなイメージがあると思いますが、ハウスにいるときも見た目に気をつけ、女性向けの可愛いつなぎを着たり、普段からネイルをして楽しんでいます。これからも農業を職業として魅力的に思ってもらえるような輝く女性になれるよう努力していきたいです。